2021年よりセンター試験が大学入学共通テストへと移行し,英検がその一部として採用されます。
2021年からは部分的な採用ですが,2024年以降は完全に外部の民間試験に英語4技能の評価が任されることになっています。
センター試験になじみのある人は,「英検何級がセンター試験のレベルに相当するのか?」という疑問を抱くかもしれません。そのことについて,経験から考察してみたいと思います。
英検2級とセンター試験との難易度比較
慶應大学の学生である息子(タイ)は,高校1年生の1月に英検2級を受験しました。ほぼ英検用の対策はせず(過去問を1,2度解いたくらい),高校の勉強もそれほど熱心にやっているようには見えませんでした。
このときの得点は・・・
英検2級の得点:9割正解
同時期に,センターも受験しました。
受験したと言っても,まだ高校1年生でしたから,もちろん本番ではなく,学校で試験的に受けてみただけです。
さて,その結果は・・・・
センターの得点:6割正解
こちらは過去問を解いたこともなかったので,時間配分がうまくいかないなど,不慣れであることが原因の失点が幾分多かったかもしれません。
それにしても,英検2級とセンター試験のレベルの差は歴然としています。
英検準1級とセンター試験との難易度比較
タイは1年後の高2のときに,英検準1級を受験しました。
そのときの結果は:
英検準一級の得点の内訳:
- リーディング:592/750
- リスニング :589/750
- ライティング:537/750
合計:1718/2250 (合格基準:1792)
で,不合格でした。
この年も,同時期にセンター試験を学校で受験しました。
その結果は:
筆記試験:160/200
リスニング:48/50
注目したいのは,リスニングの難易度と試験に占める割合です。
センター試験のリスニングはほぼ満点だったタイの英検準1級のリスニングの正答率は78%です。
リスニングのレベルは,センターよりも英検準1級がかなり高いことは明らかです。
しかも,英検準1級全体に占めるリスニングの割合は,3分の1です。
リスニングと,センター試験にはなかった”Writing"(英作)の分野を足すと,英検準1級の実に3分の2を占めますから,英検対策はこれまでのようなセンター対策とはまったく異なるものだという頭の切り替えが必要でしょう。
センターで問われていた,文法や発音は,知識問題としてではなく,英作文やリスニングといった実戦形式で問われるようになるため,頭に詰め込むだけの暗記作業とは違う形の対策が必要です。
昨今,大学入学共通試験への移行を見据えて,高校入試も形態を変えてきています。高校入試や中学の学校のテストで発音問題が出ることはなくなってきましたが,中学校の定期テストでさえ,リスニングの比重が高くなってきています。筆記分野についても,今後は文法問題よりも,英作文や長文読解に比重を置くようになってくることが予想されます。
大学入学共通試験のやり方の是非はあると思いますし,雑な手法で改革を進めている感は否めませんが,大学入学共通試験への移行をきっかけに,高校,中学,ひいては小学校や幼児期の英語教育までが,やや乱暴ながら,いやおうなく転換を迫られていくように思います。